ライカと、1本のレンズで見えてきた景色|M11-P × Summilux 35mmの記録

はじめまして、写真を撮っているあきらん(@akilans)です。

Leica M11-Pを手にしたのは、ちょうど去年のゴールデンウィークでした。

ズミルックスM 35mm f/1.4 ASPH. 一本だけと向き合いながら、静かに写真を撮り続けてきました。

富士フイルムのX-Pro3を使っていた頃もそうでしたが、カメラもレンズも増やさずに、ひとつの組み合わせだけで過ごす時間は、本当に穏やかです。

この記事では、この1年間で撮った写真を振り返るとともに、機材について感じたこと、撮るという行為について考えたことを、少し言葉にしてみたいと思います。


Leica M11-Pとズミルックス35mmについて

M11-Pは、コトンッというシャッター音が特徴的で、静かに被写体と向き合えるカメラです。
ファインダーを覗くと、空間を切り取るような感覚に陥り、撮る行為そのものに神経を研ぎ澄ますことができます。

ズミルックスM 35mm f/1.4 ASPH.は、主に開放で使っていますが、どこか柔らかく、人肌にも光にもよく馴染みます
35mmという画角は、自分にとってはとてもしっくりくるのですが、それは空気を映しやすい画角だからかもしれません。


カメラ1つ、レンズ1本で過ごした時間

これまでもGRだけで過ごした時期はありますし、たくさん持っていても結局使うのはいつも同じだったということもあり、正直まったく困っていません。

これはたぶん、かなり特殊な考え方だと思います。
だからこそ、健全な方はぜひたくさん買って、たくさん使ってください(笑)

さて、当たり前なのですが、他の新しいレンズを買わなかったことで、「この画角でどう撮るか?」をずっと考える時間が増えました
どんなに遠くを撮りたくても、35mmでしか撮れない。
だからこそ、足を使って動くことが自然になり、見逃していた被写体にも気づきやすくなった気がしています。

そして、不思議と「撮るものがない日」にも、このカメラとレンズと一緒だと何かしら見つかる。
そんな信頼感が育っていきました。


写真で振り返る、M11-Pとズミルックスの1年

ここでは、私がこの1年間に撮影した、記憶に残っている写真たちをご紹介します。


使ってみて感じたこと

M11-Pとズミルックス35mmだけで過ごしたこの時間の中で、「撮る」という行為に対する意識が大きく変わっていきました

最初は、何を撮ろうか迷ったり、構図に悩んだりすることも多かったのですが、ある日ふと、「どう撮るかよりも、なぜ撮りたいのか」を考えるようになっていた自分に気づきました。

写りは繊細で、でも決して派手ではありません。
だからこそ、自分の感覚や意図がそのまま出ます。言い換えれば、ごまかしがきかないカメラであり、レンズだと思っています

35mmという画角も絶妙で、「全部が写るわけじゃない」ですが、フレームの中に何を残して、何を削るのか、自然と考えさせてくれる距離感だと思います。

不思議と、シャッターボタンを押す前に一呼吸置くようになりました。

また、機材を変えないことのメリットも強く感じています。
いつでも同じ距離、同じ感触でカメラを構えることができるので、その積み重ねは、日常の中でふと現れる“撮りたい瞬間”に、迷いなく反応できる身体感覚を育ててくれています。

「この1本で足りるか?」という問いではなく、「この1本とどう向き合うか?」という問いの方が、ずっと写真を豊かにしてくれる
この1年は、それを実感する時間でした。


おわりに

展示をやると、「カメラ、レンズは何を使っているんですか?」と聞かれることは日常茶飯事です。

私はその度に、「この組み合わせでしか撮ってないんです、これしか持っていないので…」とお伝えしています。

「潔いですね!」と言われることはありますが、「困りませんか?」などと言われたことは一度もありません。
それはライカたるが所以なのかもしれません。

機材ではなく、自分の見方を変えていけるように。
永く永く、このセットで写真を撮り続け、一心同体になれる境地を目指したいと思っています。